晴れの日の衣装

2018年1月8日 趣味
服に強い思い入れがあるわけではないけれど、何度かは晴れの日の衣装を着せてもらったことがある。普段着ない、自分では着れない服。着る前は気恥ずかしいのだけども、着せてもらうと少し気分が高揚する。思えば、着付けをしてくださった方に恵まれたのだと思う。

これまで縁があった方は総じて、やわらかく、落ち着きのある、安心できる人ばかりだった。緊張とか気恥ずかしさをほぐして、細かく気を遣っていただいて。思い返すとそれはとてもあたたかくて、晴れの日に、真心のこもった仕度をしていただけるということがいかにありがたいことだったかを知る。

そして、そういう仕事をしてくださった方が、今回起きたことにどれだけ心を痛めただろうというのは想像に難くない。


成人の日の今日、偶然にも私は一組の新成人の仕度を少しだけ垣間見た。振袖を着るお嬢さんと、幼馴染の青年。支度をする美容師と、出迎える父母。和やかで素敵な雰囲気を少しだけおすそ分けしてもらった。

自分の成人のときには思いもしなかったことを感じた。幸せな空間にいさせてもらったなと思った。若人の節目を慶ぶことの意味とか、親心とか。よその家族だからこそ、沁み入る感慨も深かった。ドラマティックな出来事があったわけでもない、確かな日常の土台の上に築かれたぬくもりを感じた。


帰って、ニュースを見て、心が痛んだ。でも、一番に浮かんだのは新成人のお嬢さんではなく、着付けをしていた美容師さんだった。

あの人はあのとき、この出来事なんか知らなかった。でもきっと、美しい笑顔のあの人は、あの後きっと泣いただろう。


それだけの思いを持って仕事をしていることを私は知っている。多分、これまで私に晴れの日の服を着せてくれた人も同じだろう。

晴れの日の衣装に込められた思いは、そういう人たちから教わったんだなと思った。「お仕度をする」という言葉は、美しくあたたかだ。


たくさんの差し出された手。ネットワーク上を流れる文字を見ながら、今日の日の意味を噛みしめました。

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